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2011年5月27日金曜日

州行政会議

今日は、州内の地方長官及び州務総局長による州行政会議(comité d'administration régionale) に参加しました。

・政令に基づき開催されるこの会議は、月例のもので、州都で、州の地方長官が議長となるとされています。

・議題は、
-2013年以降の欧州農業政策(EUの補助金のうち40パーセントを占め、そのうち半分がフランスに)
  -フランス国鉄の路線見直しなど
-研修制度
など


 会議の初めに、お世話になっている州地方長官から紹介していただき、その後サンドリン氏(課長の方)から若干補足してもらったあと、自己紹介しました。国際会議よろしくマイクオンで話すのと、州内のトップ役人がそろっているのでやや緊張しました。
 (あとで、ペルピニャンの地方長官から「南仏なまりをよくマスターしているね」とよく分からないからかわれかたをしました)

フランス国鉄の見直しのところでは、みなさん役人である前にイチ利用者としての不満をぶつけまくっていました。州地方長官は、日本の新幹線は4分に1本間違いなくくるのにフランスはああ・・・といってましたが、よほど日本がお気に召したようです。


当方の名札はなぜか「ENA研修生」になっていました。おかげで「俺はENA卒業生なんだ」とかいって話しかけてこられて迷惑でしたが、一インターン生がテーブルについている理由の説明がめんどくさいので、こういうことにしたのだろうと思います。

 お昼は、ナポレオン時代に作られたという「グラン・サロン」↑での昼食会。これで5度目くらいですが、緊張します。

この席でも、州長官から日本についての言及がありました。(冗談交じりですが)

「当方さんよ、日本は我々よりも高い能力を発揮しているが、ひとつ間違いをおかした・・・地方長官(官選知事)を廃止したことだ笑。それでは皆 召し上がれ」

機関委任事務もなくしてしまいましたが何か?ただ、フランスの分権と違って、明治から合併が大変進んでいますので、国がパトロンからパートナーになっても、フランスほど土着の地頭みたいな人が幅を利かせるということは少ないのではないかと思います。

先日ベジエの副長官の話にもありましたが、国の政策を地方で執行する人が地方長官に当初期待された役割だったわけで、その機能自体は必要なものなので、結局、自治体がそれを担うわけですが、事後的であっても、執行を担保できる手段が国に残されている必要があるように思います。


日本にも州を作ったら、国の政策執行の確実性を担うものとしての官選知事復活!?どうでしょう。選挙で選ばれた知事を首にする制度よりは筋がいいと思いますけど。。。

2011年5月25日水曜日

ベジエ副長官庁

モンペリエから南東へ72kmにあるエロー県第4の都市ベジエショパン副長官の招きに応じて、1日副長官の仕事に付き添い見学です。

8時 モンペリエ・サンロック駅

9時 ベジエ着 迎えの副長官車で副長官庁へ。運転手のおじさんの「なまり」が凄い。「電車は静かだったか?」って単純なはずの問いが、別の言語に聞こえた。生まれも育ちもベジエのおじさん。

9時05 副長官庁着。ショパン副長官室にて、今日の予定の簡単な説明を受ける。

9時30 若者の就職支援策についての会議。議長・ショパン氏。国(経産省出先、労働省出先)、県、市、警察などさまざまな主体が参加。ショパン氏曰く、「フランス行政は誰が何をやっているのかお互いに分かっていないので、それをお互いに認識させ、無駄のない政策執行を実現させる」のも副長官の役目なのだとか。

12時 会合終了。ショパン副長官室で、長官(官選知事)、副長官(官選副知事)の役割について講義。

1 地域における国家の代表(パリからの大使)
政府の政策を実行する

2 地方議員の援助
日本の半分の人口に対して36 000以上の市町村が存在するフランスでは、概して市町村の行財政能力が弱いことから、財政的、法律的な観点からの援助を行う。

3 警察の長
警察を指揮する

4 調停役
30年前の分権改革によって、国家はパトロンからパートナーに。国が何でも決められた時代から、無数のアクター間の調整が必要になった。

5 議論をまとめ、書類の調製を進める
市民社会が成熟しすぎたフランスでは、議論ばかりで誰も実行のための手続を考えないし、議論も前に進む議論ではない。

6 法律の遵守
例えば交通法規。シートベルト着用の義務についての必要性の認識を広めるためにも10年以上要した。今日では、ねずみとりの事前告知看板を撤去することへの猛反発を抑える説明に苦慮。数学的に危険性が証明されていることであっても、フランス人にとっては、自分自身に実際に起きたことがない事故の危険性は0と認識される(程度に合理性が低いひとたちとの説明)ので、説得を試みるのは至難。

7 各省庁出先をまとめる行政の長
内務省官僚でありつつも、地域においては大統領の名代。facilitateur, mediateur
シャルルマーニュ(紀元後800)の時代にもmissi dominisiといわれる地域で国家の決定を実行する名代が必要とされた。1000年後に同じ理由でナポレオンが作ったのが、地方長官の制度。我々は「小さな皇帝」。

8 各種証明書・身分証の発行 



12時30-14時00 副長官公邸にて昼食会。鳥取県三朝町と姉妹都市のLamalou-les-bainsのロック市町村長と初対面。6月22日に三朝町との友好を記念して作った温泉(!)が20周年?を迎えることから、長官、副長官に加えて招待していただけることに。

14時ー14時30 副長官執務室にて、ロック氏からの各種陳情。

14時30 natura 2000についての会議1
 漁師、所有者、環境団体、行政などの利害が絡み合い、とんでもないことに。副長官お疲れ様でした。
会議では一人5秒程度の自己紹介をはじめにしたのが新鮮だった。(ドラフト会議の被指名者アナウンスを自分でやる的なイメージ) 先日のテレビ(フランス3のルポルタージュ)を見たという人が数人いた。

16時15 同会議2
 こちらは実行済の環境保護によって得られた自然界への影響についての評価。専門的過ぎて頭が痛くなったところ(17時30)で、モンペリエへの電車の時間となる。

ショパン副長官に会議を中座し、出口まで送っていただく道すがら、6月22日は、遅くなるから、公邸に泊めていただけることに。

一見、厳しく、やたら早口で、人の数倍のスピードで仕事をしている一方、心根のやさしさを垣間見せる方でした。

印象としては、警察機能などは別にすれば、都道府県の総務部長や市町(村)課長などが一部になっている業務かなあと思います。逆に言えば、戦後官選知事の仕組をなくしたとはいえ、国の仕事を都道府県・市町村に実施させてきた機関委任事務の制度と人材派遣を通じて、都道府県は実質的に官選知事機能の一部(=国の仕事)を担っているということをフランスの官選知事の運用から見ても、実感できたということなのかもしれません。

2011年5月17日火曜日

新聞とテレビからの取材

大学院の同級生の記者から取材を申し込まれました。5月11日でちょうど震災から2ヶ月ということで、それと当方のモンペリエの地方長官庁での研修などとの関係についてというテーマでのインタビューでした。

できた記事は、1つの面の4分の1程度でしたが、地方長官庁では「スター誕生」とかいって、ずいぶんとからかわれました。

その後、記事を読んだテレビ局から取材が来て、ルポルタージュが放映されました。

この新聞記事は、相手が知り合いということもあり、大きく間違った事実は出ていませんし、名誉などを傷つけないよう配慮したあとが伺えます。

一方、テレビ局の方は、あらかじめ決められた観点からの質問や、誘導尋問が多く、結果としても、それに見合った映像やコメントによって構成されていました。 時間の制約は紙面の制約よりはるかに大きく、事実への忠実度は大きく下がります。言ってみれば、まあ嘘にならなけりゃいいんだよ、という、忙しい上司におおまかなポイントだけ要約するときのキーワードみたいな感じです。
 *当方は、「将来フランスでも働いてみたいですね」と、詳細な説明をしつつつぶやいただけなのに、なぜか「将来の駐仏大使」と断言するなど、こちらからしてみたら反事実ともいうべきことがまことしやかに放映されているのをみて、確信しました。

共通点としては、学校でも習いましたが、「アングル設定」が重要だということです。つまり、「こういう観点から記事・番組を作りたい」という1点から全ての物事を切り取る、という作業が必要とされます。

 テレビの方は、地方長官にもご登場いただきましたが、この席で長官から、ジャポンの当方の会社について、積極的な受入を進めて行きたいので、当方の組織に伝えるよう指示がありました。それを当方の研修担当にも伝えたところ

「当方さんから御礼つたえといてください。あ、それから研修するときは、本社の許可が必要なので、申請書に記入して返信してくださいね」

てな返信が。

んー。地方長官って会社で言えば、執行役員クラスなんですけどね。なお、ここの州では国家警察権限も掌握している怖い人です。しかも、先方は、役員用に留保された住居を研修生に提供することもやぶさかではないとまでいってくれているんですが・・・。

んーんー。研修といっても、自由時間があるので体験のために、とかではなく、大学院の必修科目として実施しているわけですが、学位取得にアプリオリに必須の活動に許可申請。大学院への派遣趣旨にすでに包含されているものといえそうですが、ぶつぶつ。。。長いものには巻かれます。ハイ。


今回のことで、
・自分をねたにしてではありつつも、テレビや新聞にどのように話すと、どのようにフィードバックされるのかが分かったこと、
・当方の会社が国際化とか外国との意思疎通という概念との関係で、どのような領域に位置する場所なのかということについて、

初めて又は改めて知り、今後のモチベーションとしていくよいきっかけとなりました。