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2011年5月25日水曜日

ベジエ副長官庁

モンペリエから南東へ72kmにあるエロー県第4の都市ベジエショパン副長官の招きに応じて、1日副長官の仕事に付き添い見学です。

8時 モンペリエ・サンロック駅

9時 ベジエ着 迎えの副長官車で副長官庁へ。運転手のおじさんの「なまり」が凄い。「電車は静かだったか?」って単純なはずの問いが、別の言語に聞こえた。生まれも育ちもベジエのおじさん。

9時05 副長官庁着。ショパン副長官室にて、今日の予定の簡単な説明を受ける。

9時30 若者の就職支援策についての会議。議長・ショパン氏。国(経産省出先、労働省出先)、県、市、警察などさまざまな主体が参加。ショパン氏曰く、「フランス行政は誰が何をやっているのかお互いに分かっていないので、それをお互いに認識させ、無駄のない政策執行を実現させる」のも副長官の役目なのだとか。

12時 会合終了。ショパン副長官室で、長官(官選知事)、副長官(官選副知事)の役割について講義。

1 地域における国家の代表(パリからの大使)
政府の政策を実行する

2 地方議員の援助
日本の半分の人口に対して36 000以上の市町村が存在するフランスでは、概して市町村の行財政能力が弱いことから、財政的、法律的な観点からの援助を行う。

3 警察の長
警察を指揮する

4 調停役
30年前の分権改革によって、国家はパトロンからパートナーに。国が何でも決められた時代から、無数のアクター間の調整が必要になった。

5 議論をまとめ、書類の調製を進める
市民社会が成熟しすぎたフランスでは、議論ばかりで誰も実行のための手続を考えないし、議論も前に進む議論ではない。

6 法律の遵守
例えば交通法規。シートベルト着用の義務についての必要性の認識を広めるためにも10年以上要した。今日では、ねずみとりの事前告知看板を撤去することへの猛反発を抑える説明に苦慮。数学的に危険性が証明されていることであっても、フランス人にとっては、自分自身に実際に起きたことがない事故の危険性は0と認識される(程度に合理性が低いひとたちとの説明)ので、説得を試みるのは至難。

7 各省庁出先をまとめる行政の長
内務省官僚でありつつも、地域においては大統領の名代。facilitateur, mediateur
シャルルマーニュ(紀元後800)の時代にもmissi dominisiといわれる地域で国家の決定を実行する名代が必要とされた。1000年後に同じ理由でナポレオンが作ったのが、地方長官の制度。我々は「小さな皇帝」。

8 各種証明書・身分証の発行 



12時30-14時00 副長官公邸にて昼食会。鳥取県三朝町と姉妹都市のLamalou-les-bainsのロック市町村長と初対面。6月22日に三朝町との友好を記念して作った温泉(!)が20周年?を迎えることから、長官、副長官に加えて招待していただけることに。

14時ー14時30 副長官執務室にて、ロック氏からの各種陳情。

14時30 natura 2000についての会議1
 漁師、所有者、環境団体、行政などの利害が絡み合い、とんでもないことに。副長官お疲れ様でした。
会議では一人5秒程度の自己紹介をはじめにしたのが新鮮だった。(ドラフト会議の被指名者アナウンスを自分でやる的なイメージ) 先日のテレビ(フランス3のルポルタージュ)を見たという人が数人いた。

16時15 同会議2
 こちらは実行済の環境保護によって得られた自然界への影響についての評価。専門的過ぎて頭が痛くなったところ(17時30)で、モンペリエへの電車の時間となる。

ショパン副長官に会議を中座し、出口まで送っていただく道すがら、6月22日は、遅くなるから、公邸に泊めていただけることに。

一見、厳しく、やたら早口で、人の数倍のスピードで仕事をしている一方、心根のやさしさを垣間見せる方でした。

印象としては、警察機能などは別にすれば、都道府県の総務部長や市町(村)課長などが一部になっている業務かなあと思います。逆に言えば、戦後官選知事の仕組をなくしたとはいえ、国の仕事を都道府県・市町村に実施させてきた機関委任事務の制度と人材派遣を通じて、都道府県は実質的に官選知事機能の一部(=国の仕事)を担っているということをフランスの官選知事の運用から見ても、実感できたということなのかもしれません。

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