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2011年1月8日土曜日

ひどいおせち料理商品に集中放火する日本人

グルーポンでバードカフェのおせち料理を買った方の声を集めてみた 「おせちを作るだけの実力がない」 

(こちらも参照)

 400円弁当?-記事の写真を見ると、これがおせちかと目を疑う。実際、購入した客からの反応は、引用すると次のとおり。


社長が辞任する前に、電話かメールでお詫びするのが筋ではないでしょうか?

「詐欺+食の安全無視」だと思います。
あのスカスカなおせちを詰めて、誰も疑問に思わなかったのでしょうか??

あんなおせち、出来上がり見て発送OK出した人(社長?)頭悪いと思う。飲食店やる資格なし。


確かに、売り出しのちらしと現物を比べれば、質の落差が明らか。口に入るもののことだし、年頭の華やかな食卓を楽しみに袖を振った方にしてみれば、正月早々出鼻を挫かれたことに腹を立てる気持ちもよく分かる。上に引用した2つ目の記事では1万円のフルコースやコンビニおせちとの比較が載っているが、購入者の残念な気持ちを共有するには十分に豪華である。


一方、「2万円の御節が1万円で買える」という触れ込みを信じることについては、「安かろう、わるかろう」の原則が妥当するような気がしないでもない。また、元旦を家族でことほぐ限られた機会であればこそ、外で買ってくるのであれば、その選定に慎重に慎重を期すことが望ましいといえるだろう。

そう考えると、被害者の罵詈雑言はやや傾きが大きい。このような厳しい消費者が企業努力を促してきたこと、逆に品質がよければどんどん売れるから、ひいては日本の発展につながってきたであろうこと(実際は、海外輸出に支えられてきたので、質の向上へのまなざしが間接的に日本製品への信頼を支えたという方がより正確か)、は賞賛されるべき美徳であると思う。

しかし、新聞、テレビ、インターネットを通じて、一方的に罵倒しつくすまでの必要があるのだろうか。日本は法治国家なので、取引行為において不利益を与えたとすれば賠償すべきだろうし、その意味での責任を果たすことを求めるのは正しいが、 消費者の側にも選定責任や自省を求めてこそ、再発防止も期待できようというものである。

とかく日本では問題が起きれば、一方を袋叩きにする傾向にある。医療事故では医師が悪の権化となり、社会総がかりで集団リンチを加える。その結果、医師不足が問題になる。

「世間の目」が治安や規律を維持してきた日本では、一旦敵とみなされるや、世間は暴走する。そこに論理性や議論はない。

テレビでは、現代版遠山の金さんともいうべき、世間の代表者をきどるキャスターが

・ 「いったい何を考えているんでしょうかね」
・「国民をばかにするのもいいかげんにしてほしいですね」

という、もしかしたらキャスター自身のことを言っていると勘違いできるかもしれない決め台詞ばかりを口にすることにより、事件のポイントや争点が何であって、経緯やその理由、賛成反対の議論とキャスターなりの説明など、まともに解説を述べる義務が免除されている。

 そのしわ寄せは、当面の間、批判のはけ口が全面的に受ける。そのうち、耐え切れなくなって決壊すると、還流して、国民ひとりひとりに帰ってくるということに、なぜか気づかない。

この点を捕らえて、日本のマスコミを「マスゴミ」と呼び、日本を沈没させたい集団というむきもあるが、彼らが故意なのか、単に平和な日本の鏡なのかは、はっきりいえないと思う。彼らが常に「カモ」を探し続けている、ということだけはいえるかもしれない。

その意味では、このおせち料理事件、正月早々、おいしいネタがいただけて、マスコミには「ごちそう」だったにちがいない。

5 件のコメント:

  1. まさに羊頭狗肉ってやつで古典的な詐欺ですよね。今回はインターネットとグルーポンとやらが物珍しさゆえに炎上しましたが、やっとることは痩せる薬とかと何ら変わりありませんね。ご指摘の通りマスコミの「力量」が危険なレベルにまで落ち込んでいると感じます。スクープかバッシングを常に供給しなければならない宿痾を抱えているから仕方がないのかもしれませんが、残念な限りです。

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  2. 単なる不器用でなく故意だったんだとすれば、存在してはいけない企業だと思いますが、おっしゃるとおり、詐欺まがい手法が多いのでいやになりますね。
    新聞はフランスでは「民主主義を支える核」とされていて、ジャーナリストには日本では考えられない手厚い保護が与えられてます。それは、国民に広く「真実」を伝える役割を担っているからで、そのかわり情報収集とその正確性の確認、内容の説明は、ジャーナリストの義務と考えられています。もちろん、「スクープ」は、たくさんの人がその情報を買うので、企業としての新聞社に富をもたらしますし、新たな発見を与えるという点で、本来望ましいのですが、
    日本では、記者クラブを通じた横並び情報ばかりで、裏づけもちゃんとしているのか怪しいですし、何より、国民が知るべき情報を収集して発表しえていないのではないか、という点で、もはや存在意義に対する根本からの挑戦を受ける段階に来ていると思います。

    悪いことに、日本人は新聞が大好きで、発行部数では、世界最高クラスなので、新聞社が反省しないというのが残念です。

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  3. 結局、日本の性根は民主主義志向ではないから、なんでしょうね。政府や権力に対する本源的な疑念がないのは。

    あと、思想的な偏りがありませんって言い方は早よやめてほしいです。いいんですよ、偏ってて。(というより、提供する情報の取捨選択の時点で価値観は入りますから)その意見を聞くかどうかは読者の勝手。むしろ、自分らの主義をはっきりさせてくれた方が効率的。この雑誌は政治的にはリベラルで経済的には保守的かな〜なんて推測する手間が省けるから。なお、私はThe Economistが好きです。まわしもの。

    正直、エビゾさんの酒の席での不埒なんてどうでもいいので、日本のマスメディアの人にも肝臓の売買は良いことなのでは?位の主張をして頂きたいなあ。(知ってる?エビゾさんという歌舞伎役者。彼の不埒が日本中の話題になったんです。歌舞伎がそんなに耳目を集めるなんて、日本人は教養が高いなあ、と勘違いさせられました。)

    以上

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  4. 失礼、肝臓ではなく腎臓です。
    一個しかないものを売ってはいかん・・・

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  5. フランスでは各紙・各誌とも自らの政治的立場を表明していますので、無駄は無いですね。

    海老憎は、去年ロンドンを訪問した際に、現地での歌舞伎を見に行きました。立派だったと思います(とてもアクロバティックなので驚きましたが)

    ご指摘のとおり、日本の新聞論調は、一部を除き、大きな差が無く意見の代表者・選択肢の提供者となりえていないと思います。

    生命倫理という人間の根幹にかかわることについても、おそらくセンセーショナルに報道するばかりで、決定が必要な段階になったら、「国民的議論が必要だ」という決まり文句で逃げ切るのだと思います。

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