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2009年10月11日日曜日

MONUMENTS AUX MORTS

わが研究者コースの筆頭教授、ペレス氏の授業は、難解ながらも、興味深いです。
彼の研究テーマは、アイデンティティ。
第1回目のゼミでは、フランスにおける戦死者記念碑についてでした。
徹夜で読んだ論考から読み取れたことは次のとおり。

・フランスでは全市町村にこうした記念碑が置かれている。
・第1次世界大戦のときに、市町村がこうしたものを設置する動きをした。
・できるだけ市役所、教会など市民が多く通るところに設置。
・死者の名前は目立たないように書かれている。
・たいていの文言は、国家のために死した栄光あるこどもたち(兵士たちなのだが、こどもたちと記載)といった形式が厳格に守られている

などなど

彼は、ここから、市町村が国家と個人のアイデンティティ結合の仲介役として意義を有していると結論付けています。
それますが、面白いのは、旧植民地国にもこうしたモニュメントを設置しているのかとある生徒が問うと、彼は、それは興味深いテーマだが、まだよくわからないとの回答でした。確かにモニュモンはあるけれども、統一的性格を有するとまで結論できず、むしろアドホックなものではないかとの印象を有しているようでした。

翻って、日本に関して言えば、仮に同様に全市町村にこうしたモニュモンを設置したのであれば、植民地にも同様に設置されたでしょう。さらに興味深いのは、日本には、国家的統合意図の感ぜられるこうしたモニュモンがない?という事実です。
思いついたのは、靖国、原爆ドーム、長崎平和の像、ひめゆりの塔、といったところですが、後者3つはむしろ戦争の悲惨さを訴えるものです。靖国については、比較できる例なのかもしれません。

というわけで、彼に靖国の話をしてみましたが、ふーん、って感じであまり知見がなさそうでした。やはり欧州人にとって、アジアの出来事は火星に生物がいたかどうかと同じ程度のレベルでの関心事なのでしょう。せっかくなので、上記の点を資料にまとめて、おくりつけてやろうと思います。

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